『築30年の中古マンション、正直あと何年住める?』プロが教える“寿命”の見極め方

『築30年の中古マンション、正直あと何年住める?』プロが教える“寿命”の見極め方
基礎知識

「そろそろ家を…」と中古マンションを探し始めると、必ずと言っていいほど出会うのが「築30年」前後の物件。価格も手頃で立地も良いものが多いけれど、同時にこんな不安がよぎりませんか?


「築30年って古すぎない?」

「地震が来たら大丈夫なの?」

「買ってすぐ住めなくなったらどうしよう…」

 

その不安、とてもよく分かります。
しかし、私たち不動産のプロから言わせれば、築年数という「数字」だけで優良物件を候補から外してしまうのは、非常にもったいない選択です。


実は、いくつかのポイントをプロの視点でチェックすれば、築30年のマンションが「あと数十年は安心して住めるお宝物件」かどうかを見極めることができます。


今回は、中古マンションの「本当の寿命」を判断するための、3つの最重要チェックポイントを徹底解説します。

結論:マンションの寿命は「築年数」だけでは決まらない!

『築30年の中古マンション、正直あと何年住める?』プロが教える“寿命”の見極め方

まず知っておいていただきたいのは、よく言われる「鉄筋コンクリートの法定耐用年数47年」というのは、あくまで税法上の減価償却のために定められた数字だということです。これは建物の物理的な寿命とは全く関係ありません。

 

マンションの本当の寿命を決めるのは、①建物の構造(骨格)と、②これまでの管理状態の2つです。



適切なメンテナンスが施されていれば、鉄筋コンクリート造の建物は100年以上もつと言われています。つまり、築30年は人間でいえば「まだまだ働き盛りの30代」。ここから先の人生(資産価値)は、体の頑丈さと、日々のメンテナンスにかかっているのです。


では、具体的にどこを見れば良いのでしょうか?

チェックポイント①【構造の寿命】耐震性は「1981年6月」が絶対的な分かれ目

『築30年の中古マンション、正直あと何年住める?』プロが教える“寿命”の見極め方

建物の寿命で最も気になるのが「耐震性」ですよね。
これは非常にシンプルで、「1981年(昭和56年)6月1日」以降に建築確認申請が下りた建物かどうかで判断できます。


★新耐震基準(1981年6月〜): 震度6強~7程度の大規模地震でも倒壊・崩壊しない強度

★旧耐震基準(〜1981年5月): 震度5強程度の地震で倒壊・崩壊しない強度


この基準は、建物の安全性における絶対的な分かれ目です。

 

【プロの視点】
 築30年(これを執筆している2025年から見ると1995年築)のマンションであれば、まず間違いなく「新耐震基準」で建てられています。これが、私たちが「築30年なら、まずは安心」と考える第一の理由です。物件情報に「築年月」しか書かれていなくても、不動産会社に頼めば建築確認日を調べることができます。

チェックポイント②【設備の寿命】見えない部分「配管」こそプロの腕の見せ所

『築30年の中古マンション、正直あと何年住める?』プロが教える“寿命”の見極め方

建物の構造と同じくらい、いや、リノベーションを前提とするならそれ以上に重要なのが「給排水管」の状態です。

 

なぜなら、お部屋の中の壁紙やキッチンはリノベーションでいくらでも新しくできますが、壁や床下のコンクリートの中に埋め込まれた「共用部分の配管」は、個人で交換することができないからです。


もし古い鉄製の配管が使われていると、錆による赤水や、最悪の場合、漏水のリスクが高まります。


【チェック方法】
 内見時に蛇口をひねって水の色を見るだけでは不十分です。プロが最終的に確認するのは「長期修繕計画書」です。

「給排水管の更新(交換)工事」がいつ計画されているか?

すでに交換工事は完了しているか?

これが非常に重要です。築30年前後のマンションは、ちょうど配管の交換時期を迎える頃。この計画がしっかり立てられ、実施されている(または予定されている)マンションは、管理状態が良い証拠と言えます。

チェックポイント③【管理状態の寿命】未来を決める「管理組合」の実力

『築30年の中古マンション、正直あと何年住める?』プロが教える“寿命”の見極め方

どんなに頑丈な建物でも、日々のメンテナンスを怠れば寿命はどんどん縮んでいきます。その舵取り役を担うのが「管理組合」です。つまり、「管理組合がしっかり機能しているか」は、そのマンションの将来性を左右する最大のポイントだと言っても過言ではありません。

 

では、どうやってその実力を見抜けばいいのでしょうか?



Step1:まずは内見で「意識の高さ」を感じとる 内見の際、お部屋だけでなく共用部もぜひ注意深く見てみてください。


★エントランスや廊下は綺麗に清掃されているか?

★ゴミ捨て場は整理整頓されているか?

★掲示板に古い情報が貼られたままになっていないか?


こういった「見た目」は、管理組合の美意識や運営への関心度を測るための、分かりやすいヒントになります。

 

Step2:プロが深掘りする「お金」と「計画」という本質 


見た目の清潔感はもちろん重要ですが、マンションの未来を本当に左右するのは、その“家計簿”と“健康計画”です。具体的には「お金(修繕積立金)」と「計画(長期修繕計画)」の2つ。

私たちがお客様の最終判断をサポートするために、プロの目で徹底的にチェックするのは、主に以下のポイントです。


★修繕積立金は潤沢に貯まっているか?(滞納はないか?) 
→お金がなければ、必要な修繕工事はできません。マンションの貯金残高と、住民の支払い意識を確認します。

★長期修繕計画は、定期的(5年ごとなど)に見直されているか? 
→物価の変動や新しい技術に合わせて計画を更新する、未来を見据えた視点があるかどうかが問われます。

★大規模修繕工事(12〜15年周期)は計画通りに実施されてきたか? 
→過去の実績は、未来の信頼性を示す何よりの証拠です。



【重要】専門的な情報は、いつ、どうやって調べるのか?


「なるほど、でもそんな専門的な情報、どうやって…?」と思いますよね。


これらの詳細な情報は、マンションの“健康診断書”ともいえる「重要事項調査報告書」や「長期修繕計画書」にまとめられています。


「では、それらの書類はいつ見られるの?」


ご安心ください。そこが、私たち不動産のプロの腕の見せ所です。確かに、これらの書類は個人情報も含まれるため、一般に公開されているわけではありません。しかし、私たちは段階を踏んで調査を進めます。



【検討初期~内見段階】一次診断 

まず、経験豊富な担当者が、内見時の共用部の状態、掲示物の内容、管理会社の評判、売主側担当者へのヒアリングなどから、そのマンションの“管理レベル”を大まかに診断します。この段階で「このマンションは管理がしっかりしていそうだ」「少し懸念点があるかもしれない」といった当たりをつけます。



【購入検討段階】精密検査 

お客様が「この物件を前向きに検討したい」という段階に進んだら、私たちは売主側の許可を得て、正式に「重要事項調査報告書」などを取り寄せ、精密検査に入ります。そして、売買契約を結ぶ前の最終確認として、その分析結果を分かりやすくご説明します。



表面的な物件情報だけでなく、二段階の調査で将来の安心まで見据えて診断することこそ、私たち不動産のプロが介在する一番の価値なのです。

まとめ:賢い見極めで、築30年は「狙い目」になる!

『築30年の中古マンション、正直あと何年住める?』プロが教える“寿命”の見極め方

いかがでしたか? 築30年の中古マンションでも、

 

POINT1.【構造】新耐震基準で建てられている

POINT2.【設備】配管の更新が計画・実施されている

POINT3.【管理】管理組合が健全に機能している



この3つのポイントが揃っていれば、あと30年、40年と安心して快適に暮らせる可能性は非常に高いと言えます。

 

築年数という数字のフィルターだけで選択肢を狭めてしまうのは、本当にもったいないことです。新築よりもリーズナブルな価格で、好立地の物件を手に入れ、自分たちの好きなようにリノベーションする。そんな賢い家探しを、私たちは全力でサポートします。


「この物件、どうなんだろう?」

「管理状態を詳しく調べてほしい」


少しでも気になる物件があれば、ご自身で悩まずに、ぜひ私たち不動産のプロにご相談ください。専門家の目で、その物件の「本当の価値」を診断し、後悔のない住まい探しをお手伝いさせていただきます。

施工事例